フェアトレードって聞いたことがあるけど、実際はどのような取り組みがなされているのだろうか
フェアトレードの概要がわからず、このような悩みをお持ちではありませんか。
フェアトレードが抱える課題は多く、世界間で認識に大きな差が生じています。
なぜなら、フェアトレードの認知度は低く、世界的な基準が統一されていないからです。
- フェアトレードとは何か
- フェアトレードが抱える6つの問題点
- フェアトレードにおける6つの課題
- フェアトレードにおける3つのメリット
- フェアトレードにおける2つのデメリット
- 通販で購入できるフェアトレード商品4選
フェアトレード問題とどのように向き合っていけばいいのかわかるようになるので、ぜひ最後までご覧ください。
フェアトレードとは公平な貿易という意味
フェアトレードとは、「公平な貿易」という意味があります。
公平な貿易と聞くと、「そもそも貿易とは、お互いが納得した形で品物をやり取りするものではないの?」と思う方もいるでしょう。
貿易の歴史に、生産者が弱い立場にあるという事実があります。
発展途上の生産国に対し、安く買いつけたものを市場に売り出し、先進国は利益を生み出すのです。
その結果、生産国の利益はわずかなものとなり、低賃金で働き続けなければなりません。
低賃金のため、子どもを学校へ通わせるどころか、働かせなければ生活が成り立たないという問題もあります。
この不正な利益を正す取り組みがフェアトレードです。
フェアトレードの問題点は6つ
フェアトレードの問題点は、以下の6つです。
- 国際フェアトレード基準により、市場価格の変動に合わせられない結果、フェアトレードの商品が高くなることもある
- 発展途上国の品質管理技術が低いため、品質に対して価格が見合わない
- 国際フェアトレード基準に加え、企業独自の基準も存在するため、正確な取引が難しい
- 最低価格の保証とプレミアム(奨励金)により、フェアトレード製品は価格が高くなりがち
- 認知度が低く、ネガティブなイメージを持っている人が多い
- フェアトレードの認証ラベル取得が難しく、継続するにもコストがかかる
上記の問題点から、フェアトレードについて知っていても、導入するには現実的でないと考えている企業が多いようです。
フェアトレードにおける6つの課題
日本のフェアトレードが世界基準に近づくには、さまざまな課題があります。
- 市場価格の変動幅を小さくする
- 有機農法などの技術伝承と農業環境の整備
- 国際的にフェアトレードの基準を統一
- 価格に見合った商品の開発
- ネガティブなイメージの払拭
- 企業が気軽に参入できるようにする
問題点から考える上記6つの解決策を解説するので、参考にしてください。
1.市場価格の変動幅を小さくする
フェアトレードにおける市場価格の変動幅を小さくしなければ、フェアトレードの問題解決は難しいでしょう。
フェアトレードでは最低価格が保証されているため、市場価格の変動に影響を受けにくくなっています。
そのため、市場価格が下落した場合、フェアトレード商品は相対的に価格が高くなるのです。
フェアトレード商品の価格を高く感じさせないようにするため、市場価格の変動を小さくする必要があります。
2.有機農法などの技術伝承と農業環境の整備
フェアトレードを受け入れてもらうため、有機農法などの技術伝承と農業環境の整備をする必要があります。
フェアトレードが嫌煙される理由として、発展途上国の品質管理技術の低さがあげられます。
発展途上国の技術は遅れており、子どもも働かなくてはいけないほどの人手不足は、低品質製品の大きな原因です。
低品質では、フェアトレードを行うにも輸入国も、なかなか手を出しにくくなります。
有機農法はフェアトレード基準にも取り入れられており、品質管理ができているとフェアトレードの価値も安定するでしょう。
3.国際的にフェアトレードの基準を統一
国際的なフェアトレード基準の統一は、市場による認識の差をなくします。
現状では、国際フェアトレード基準と企業独自のフェアトレード基準が混在しており、フェアトレード運用の難しさが問題です。
フェアトレードと名乗るために、フェアトレード基準を満たす必要がない点も良くありません。
今後フェアトレードを普及させていくにあたり、認証ラベルを義務化するなど、第3者機関が厳格な対応を取っていく必要があります。
フェアトレードの認知度は低く、基準が満たされているかどうかは、世間の人は知りようがありません。
しかし、あいまいな基準のまま輸入された商品だと、フェアトレードの価値を一層下げてしまうでしょう。
4.価格に見合った商品の開発
フェアトレード商品は最低価格が保証されているため、既存の商品よりも価格が高い傾向にあります。
そのため、どうしても価格競争の観点では劣ってしまう商品が多いです。
フェアトレードの背景を理解していても、低品質で高価格だと購入しにくいでしょう。
価格帯に合った品質を実現するためには、発展途上国における品質管理技術を向上させる必要があります。
資金力のある企業がフェアトレードの発展のために、投資をするなどの取り組みが求められます。
5.ネガティブなイメージの払拭
フェアトレードのネガティブなイメージを払拭しなければ、フェアトレードは今後衰退していくでしょう。
日本におけるフェアトレードの認知度は低く、知っていてもボランティアに近い感覚でフェアトレード商品を購入しているようです。
フェアトレードはヨーロッパを中心に広がっており、先進国の間では徐々に浸透しています。
フェアトレードによる売り上げを見てみると、1位のイギリスは日本の約200倍です。
この結果から、日本と世界とで、フェアトレードに対する理解の違いが表れているともいえます。
フェアトレードのネガティブなイメージを払拭するには、世界のフェアトレードに対する理解度を把握するといいでしょう。
6.企業が気軽に参入できるようにする
発展途上国で農産物の供給体制を0から作るのは、非常に難しい課題です。
実際にフェアトレード商品を供給するまでには、以下のようなアクションが求められます。
- 労働者の新規雇用
- 製品の加工技術の伝承
- 作業設備の導入
- 流通ルートの確保
上記に加えて新規製品の開発資金を確保する場合は、参入できる企業は限られるでしょう。
また、フェアトレードを新たな商機と考えて、積極的に企業が参入できるような法整備なども必要です。
発展途上国の基盤設備や経済体制の構築に加えて、企業の新規参入を阻む資金的な課題も存在します。
フェアトレードにおける3つのメリット
フェアトレードのメリットについて解説します。
フェアトレードにおける3つのメリットは以下の通りです。
- 生産者における生活の質が向上する
- 持続可能な社会の実現につながる
- 最終的には戦争や紛争を無くせる
フェアトレードは生産者のみにメリットがあるように感じますが、他の立場にもメリットがある仕組みとなっています。
フェアトレードのメリットを知り、本来の目的のためできることを考えましょう。
生産者における生活の質が向上する
フェアトレードは、不当な貿易から生産者を救済するための措置です。
フェアトレードによる生産者のメリットとして、以下の項目が挙げられます。
- 生活の水準が向上する
- 児童が教育の機会を得られる
- 発展途上国の技術向上が図れる
生産者の生活質が向上すると、世界の貧困問題の解決に大きく前進します。
持続可能な社会の実現につながる
フェアトレードの基準として有機栽培が推奨されており、農薬などの化学肥料をなるべく使わなくなります。
つまり、フェアトレードは環境保護にも貢献しているのです。
不当な貿易ばかりしていると生産国は疲弊し、いずれ生産力は衰えていくでしょう。
生産物がなくなれば、そもそも貿易すら不可能です。
フェアトレードを推奨することで、生産国に対し継続的な輸入が可能になります。
最終的には戦争や紛争を無くせる
戦争や紛争の要因はさまざまですが、中でも治安の悪さの影響は大きいでしょう。
治安が悪い地域は、貧困である割合が高く、発展途上国が多く含まれます。
フェアトレードは、発展途上国の生活水準を上げる役割があります。
貧困が解消されると、戦争や紛争へ発展するリスクを下げられるでしょう。
また、児童に教育の機会を与えることも重要です。
発展途上国では児童が労働せざるを得ない状況にあり、必要な教育を受ける機会がありません。
教育を受けていなければ、世の中のあり方を学べず治安が悪くなりがちです。
フェアトレードにおける2つのデメリット
フェアトレードのデメリットについて解説します。
フェアトレードにおけるデメリットは以下の2つです。
- 商品のバリエーションが少ない
- 企業側の利益が減る
フェアトレードは公平な貿易のために、先進国などの負担を増やすことで成り立たせています。
仕組みとしてはすすめるべき政策ですが、基準があいまいなことや発展途上国の技術不足もあり、いいことばかりではありません。
フェアトレードのデメリットを理解し、改善の余地があるか考えてみましょう。
商品のバリエーションが少ない
フェアトレード・ジャパンによると、日本で購入がフェアトレードの商品は以下のとおりです。
- コーヒー
- アイスクリーム
- ワイン
- お茶
- タオル
- ナッツ、など
食料品が多く、生活用品としては、タオル以外にはありません。
そのため、日用品として普及させるための商品開発が求められています。
また、フェアトレード商品は、販売している場所が限られており、日本ではイオンやカルディ、コンビニなどがあげられます。
最近では、通販で購入できるようになってきているため、上記の店が近所にない場合は活用してみてください。
企業側の利益が減る
フェアトレードの導入により、企業側の利益が減る可能性があります。
フェアトレードは、立場が弱い生産国を守るために、公平な貿易ができるようにする政策です。
そのため、これまでの価値で成り立っていた貿易が、生産者側に価値が傾くため企業側の利益が減ってしまいます。
また、フェアトレードでは市場価格よりも仕入れ値が高くなりがちになるため、新規でフェアトレードをはじめようとしている企業も参入が難しくなるでしょう。
通販で購入できるフェアトレード商品4選
通販で購入できるフェアトレード商品をピックアップして、以下の4つを紹介します。
- コーヒー豆、粉
- チョコレート
- バナナ
- 名刺
気になる商品がある方は、詳細をチェックしてみましょう。
コーヒー豆・粉
第3世界ショップでは、フェアトレードの「サンタ・フェリサコーヒー(豆・粉)」が購入できます。
1904年創業のサンタ・フェリサ農園で作られており、酸味とコクが特徴です。
サンタ・フェリサコーヒーは、グアテマラCOEで2位を獲得するほど味が洗練されています。
COEとは、カップ・オブ・エクセレンスの略で、コーヒーを輸出している国で行われているコンテストです。
コンテストに出品されるコーヒーは多く、COEの獲得は優れたコーヒーの証明となります。
ドリップタイプの商品では、12包入りで2,196円(税込)です。
コーヒー1杯あたりの値段は183円(税込)で、お店でコーヒーを注文するよりもリーズナブルに飲めます。
チョコレート
People Treeでは、フェアトレードのチョコレートが購入可能です。
チョコレートに用いられるカカオ豆は、ボリビアのエル・セイボが原産です。
エル・セイボでは、カカオ豆で得た収益を地域発展のために還元しており、奨学金などで大学へ通わせられるまでに至ります。
乳化剤を用いず練りだけでチョコレートの口あたりがなめらかになるほど、高い技術で作られた製品です。
溶けやすいココアバターを使うことで、チョコレートのなめらかさを表現しています。
そのため、「People Tree」ではチョコレートの販売を寒い時期にしか行っておりません。
バナナ
fair selectは、エクアドル産のバナナをフェアトレード商品として販売しています。
フェアトレード基準に従い、有機栽培により作られたバナナです。
有機栽培ではないバナナと比較すると、糖度が高く風味があります。
フェアトレードバナナの価格は、1袋に3~5本入っており6袋で3,456円(税込)です。
高品質で価格は高めですが、有機栽培のため安心して口へ運べます。
名刺
日用品からは、名刺がフェアトレード商品として販売されています。
ecobeではバナナの茎を名刺にする取り組みがあり、日本初のフェアトレード認証された商品です。
バナナでできた紙の歴史は長く、何度も品質の改良がおこなわれています。
パルプ化されたバナナの茎や繊維質、FRS🄬認証紙を混ぜて制作されており、紙の質感は独特ですがバナナの香りはしません。
バナナの茎はバナナの収穫後廃棄されるものでしたが、バナナペーパーが開発されてから新しく雇用の機会を提供できるようになるでしょう。
ecobeは、「ザンビアバナナペーパー」という商品を取り扱っています。
厚さは0.24㎜で硬さは中間ほどであるため、名刺をはじめはがきやチラシなどにも使用できるサステナブルな商品です。
無料サンプルも取り揃えているので、気になった方は一度お手に取ってみてはいかがでしょうか。
まとめ
本記事では、フェアトレードの問題点とその解決策について解説しました。
日本におけるフェアトレードの認知度は低く、ネガティブなイメージを持たれがちです。
世界に目を向けると、イメージだけの問題ではないところもあります。
フェアトレードの基準があいまいな点や、発展途上国の低品質な商品が割高となってしまう点など問題はさまざまです。
フェアトレードの本質は、発展途上国の生活水準を向上し、世界の流通を安定させることにあります。
そのため、フェアトレードの課題を解決する働きかけが重要です。
フェアトレードに関わるきっかけとして、フェアトレード認証ラベルが付いた商品を購入しましょう。