ビジネスの言葉遣いって難しいな。
さまざまなビジネスマナーにおいて「言葉遣い」はもっとも重要です。相手に直接、伝わる言葉ひとつで、あなたのビジネスパーソンとしての力量がわかるといっても過言ではありません。
そこで本記事では、ビジネスにおける言葉遣いにフォーカスをしてこれから社会に出る人、社会に出たばかりの人に向けてわかりやすく解説をしていきます。
- ビジネスマナーにおける基本的な言葉遣い
- 社会人の言葉使い|シーン別の例文5選
- 仕事ができると思わせるワンランク上の言葉遣い
言葉遣いに不安のある方は、ぜひ参考にしてみてください。
ビジネスマナーにおける基本的な3つの言葉遣い
ビジネスマナーで最初に抑えておきたい基本的な言葉遣いは以下の3つです。
- 尊敬語
- 謙譲語
- 丁寧語
それぞれの違いについて見ていきましょう。
自分より立場が上の人には「尊敬語」
尊敬語は、相手の行為や状態を尊重する意味で使います。正しく使えば、相手に敬意を示すことができます。
尊敬語を使う際の基本は、他人の行為や状態を表すときです。
たとえば、上司やお客様が何かをされた場合、その行為を尊敬語で表現します。たとえば、「山田さんがお話しになる」といいかたちです。
しかし、注意点として、自分の行為や自社の上司の行為を社外の人に伝える場合、尊敬語は使いません。これは、自分や自社の行為を過度に尊重することを避けるためです。
たとえば「私が報告します」や「部長が決定します」といった具合にです。
日常生活の会話とは異なり、ビジネスシーンでは正確な尊敬語の使用が求められます。間違った言葉遣いは、相手に不快な印象を与える恐れがありますので、常に注意が必要です。
自分が主語のときは「謙譲語」
謙譲語は、自分や自分の所属する組織の行為を控えめに表現する際に使います。これにより、相手に対する謙虚な態度を示すことができるはずです。
たとえば、何かの提案や報告をする際には、「申し上げます」や「お伝えいたします」といった形で謙譲語を使用します。
しかし、謙譲語を過度に使用するのは注意が必要です。過度な謙譲語は、自分の意見や提案が弱いと受け取られる恐れがあります。
たとえば、「お伝えできるかどうか分かりませんが」という表現は、自分の意見に自信がないと感じられるかもしれません。
また、謙譲語の中には、正しい形と間違った形が存在します。正確な謙譲語を使用することで、相手に対して適切な印象を与えられるでしょう。
たとえば、「参ります」は正しい謙譲語ですが、「来ます」という表現はビジネスの場では適切ではありません。
日常の業務でのコミュニケーションを円滑にするため、正しい謙譲語の使用を心がけましょう。
丁寧な言葉遣いをするときは「丁寧語」
丁寧語は、相手に対する敬意を示すための表現として使用されます。
丁寧語については知っている方も多いとは思いますが、改めて確認しておきましょう。
丁寧語の特徴として、文末に「です」「ます」をつけることで、文全体を丁寧できます。たとえば、「これはペンです」や「私は行きます」といった形です。
もちろん、丁寧語の使い方にも注意点があります。とくに、ビジネスの場面では、相手に対して適切な敬意を示すために、常に丁寧語を使用することが求められます。
たとえば、上司や先輩、お客様に対して「これはペンだ」と言うのは不適切。正しくは「これはペンです」と表現するべきです。
また、丁寧語を使用する際には、文全体の統一性を保つことが大切です。一つの文の中で、丁寧語と非丁寧語が混在することは避けるべきです。
日常の業務での会話やメールのやり取りなど、様々な場面での丁寧語の使用を心がけることで、より良い関係を築くことができるでしょう。
間違えやすい社会人の言葉使い|シーン別の例文5選
言葉遣いの基本がわかったところで、次に具体的な使い方についておさえておきましょう。
ビジネスで言葉遣いが試される場面は以下のとおり。
- 名刺交換するとき
- メールなどのテキストを使うとき
- 謝罪するとき
- 電話対応のとき
- 上司に対する言葉遣い
順番に見ていきましょう。
1.名刺交換するとき
名刺交換時の言葉遣いは、「名刺を受け取るとき」「名刺を渡すとき」「名刺を切らしたとき」のシチュエーションに分けられます。
それぞれ例文を交えて解説をしていきます。
名刺を受け取るとき
「失礼いたします。」と言いながら、両手で名刺を受け取ります。受け取った後は、名刺の内容をしっかりと確認し、「○○様、よろしくお願いいたします。」と返事をします。
例文:
「失礼いたします。」
(名刺を確認)
「田中様、今後ともよろしくお願い申し上げます。」
名刺を渡すとき
名刺を渡す際は、自分の名前や会社名を言いながら、両手で相手に差し出します。
例文:
「○○株式会社の△△と申します。どうぞよろしくお願いいたします。」
名刺を切らしたとき
名刺を切らしてしまった場合は、まず謝罪の言葉を述べ、後日改めて送らせていただく旨を伝えます。
例文:
「大変申し訳ございません。現在、名刺を切らしております。後日、お送りさせていただきますので、よろしくお願い申し上げます。」
このように、シチュエーションごとに言葉遣いが変わってきますので、確認しておきましょう。
2.メールなどのテキストを使うとき
メールにおいても丁寧かつ正確な言葉遣いが求められます。
とくに注意したいのは「冒頭の挨拶」と「締めくくりの挨拶」です。ここでも例文を交えて見ていきましょう。
冒頭の挨拶
メールの冒頭は、相手に対する敬意を示す大切な部分です。日常的なやり取りであっても、挨拶を省略することは避けましょう。
例文:
「お世話になっております。」
「いつもお世話になっております。」
締めくくりの挨拶
メールの終わりにも、相手に感謝の意を示す挨拶を入れることで、丁寧な印象を与えることができます。
例文:
「どうぞよろしくお願いいたします。」
「今後ともよろしくお願い申し上げます。」
2重敬語はNG
2重敬語は、一つの文中で敬語を2回使ってしまうことを指します。
これは日本語として不自然であり、相手に誤解を与える可能性があります。
誤:「お問い合わせ頂けますようお願い申し上げます。」
正:「お問い合わせいただけると幸いです。」
またメールでは、常用漢字のみを使用し、スマートフォンでも読みやすいように改行を入れることで、よりわかりやすい文章を作成できます。
3.謝罪するとき
ビジネスシーンにおける謝罪の言葉遣いは、相手を尊重し、自分の非を認めることが大切です。
以下、注意点を踏まえた謝罪の例文をいくつかご紹介します。
・メールの返信が遅れた場合
「大変申し訳ございません、返信が遅くなりました。早急に対応させていただきます。」
・納期を過ぎてしまった場合
「納期を過ぎてしまい、ご迷惑をおかけしました。心よりお詫び申し上げます。」
・商品やサービスに問題があった場合
「ご指摘の点、失礼いたしました。速やかに修正し、再発防止に努めます。」
ビジネスにおいては、「ごめんなさい」という表現は避け、より丁寧な言葉を選ぶことが求められます。
とくに目上の方や外部の方に対しては、「申し訳ございません」や「心よりお詫び申し上げます」といった表現を用いると良いでしょう。
また、謝罪の際は、具体的な原因や今後の対応も併せて伝えることが、信頼を回復するためには必要です。言葉遣いだけでなく、誠実な態度で相手に接するようにしましょう。
4.電話対応のとき
電話対応は、相手との初めてのコミュニケーションとなることが多いため、丁寧な言葉遣いや態度が求められます。
ここでは、「電話に出る」「転送する」「相手の名前を効く」のシチュエーションで例文をご紹介していきます。
電話に出る
電話を受ける際は、まず会社名や部署名を明確に伝え、その後に自分の名前を名乗ります。
例文:「○○株式会社 △△部、□□と申します。いかがなさいましたか?」
転送する
転送する際は、相手に転送の旨を伝え、了承を得た後に転送を行います。
例文:「申し訳ございませんが、○○(自社の部署名)にお繋ぎいたします。少々お待ちいただけますでしょうか?」
相手の名前を聞く
相手の名前を確認する際は、丁寧に尋ねるようにします。
例文:「失礼いたしますが、お名前をお伺いしてもよろしいでしょうか?」
電話対応では、相手の名前や要件を正確に確認することで、スムーズな対応が可能となります。
また、転送や保留をする際は、相手に事前に伝え、了承を得ることが大切です。電話一本で相手に与える印象が大きく変わるため、常に丁寧な言葉遣いを心がけましょう。
5.上司に対する言葉遣い
上司に対する言葉遣いは、ビジネスシーンでの信頼関係を築くための大切な要素です。
以下、注意点を踏まえた例文をいくつかご紹介します。
・返事をするとき
上司:「山田!」
あなた:「お呼びでしょうか?」
・了解の意を示すとき
上司:「この資料、明日までに確認してほしい。」
あなた:「承知しました。明日までに確認いたします。」
・謝罪するとき
あなた:「先ほどのミーティングでの私の発言、不適切でした。申し訳ございません。」
・労いの言葉
あなた:「今日も一日、お疲れ様です。」
・何かを教わりたいとき
あなた:「プロジェクトの進め方について、ご指導いただけませんでしょうか?」
・時間をもらいたいとき
あなた:「少しお時間よろしいでしょうか?報告がございます。」
・何かを聞き直したいとき
あなた:「もう一度、お聞かせいただけますでしょうか?」
・知らないことを伝えるとき
あなた:「申し訳ございませんが、その点については存じません。」
・手伝ってほしいとき
あなた:「この件について、お力をお貸しください。」
上記のように、上司に対しての言葉遣いは、敬意を持って丁寧に伝えることが大切です。
日常の業務の中で、これらの表現を意識して使うことで、上司との関係もより良好になるでしょう。
仕事ができると思わせるワンランク上の言葉遣い3選
基本的な言葉遣いについてご紹介してきましたが、ここからは他の人と差がつく言葉遣いについて解説をしていきます。
具体的には、以下の3つです。
- 忘れたときは「失念しておりました」
- 誰かに伝言をするときは「申し伝えます」
- わからないときは「わかりかねます」
ぜひ、マスターしておきましょう。
忘れたときは「失念しておりました」
何かを忘れてしまった場合、単に「忘れました」と伝えるのではなく、「失念しておりました」という表現を用いると、より丁寧に謝罪の意を示すことができます。
たとえば、会議で前回の議題について尋ねられた際、思い出せない場合は「前回の議題について、申し訳ございませんが、失念しておりました」と伝えましょう。
相手に対する敬意を保ちつつ、自身のミスを認めることができます。
また、このような表現を使う際には、心の中で本当に謝罪の気持ちを持っていることが大切です。
形だけの言葉遣いでは、相手は真摯さを感じ取ることができません。言葉遣いだけでなく、その背景にある気持ちや態度も大切にしましょう。
誰かに伝言をするときは「申し伝えます」
他者への伝言は日常的に行われるコミュニケーションのひとつです。
その際、相手に対する敬意を示すために「申し伝えます」という言葉遣いがふさわしいでしょう。
たとえば、上司から部下への指示を受け取った際、単に「伝える」と伝えるのではなく、「申し伝えます」と言うことで、上司への敬意と、責任を持って伝言を届ける意志を示せます。
また、取引先やお客様からの要望や問い合わせを受けた際にも、「申し伝えます」という表現を用いることで、相手の要望を大切に受け止め、適切に対応する姿勢を示すことができます。
例文:「先程、山田様からのお問い合わせを受けましたので、部署の中村さんへ申し伝えます。」
ビジネスシーンでは、細かな言葉遣いが相手との信頼関係を築く上でとても大切です。
わからないときは「わかりかねます」
何かを知らない、または確認が必要な場合、その旨を伝える言葉遣いには注意が必要です。
「わからない」と単刀直入に伝えるのではなく、「わかりかねます」という表現を用いることで、相手に対して丁寧に自身の立場を伝えられます。
実はこの表現は、自分が知らないことを認めつつも、それを改善するための努力をする意志を示すものとして受け取られます。
例文:「その点については、現時点で詳細をわかりかねますが、確認して改めてご連絡いたします。」
ビジネスの場では、知識や情報が求められる場面が多いため、その際の対応を上手に取り計らいよい関係を築いていきましょう。
まとめ
今回は、ビジネスシーンにおける言葉遣いについて解説をしてきました。
とくに言葉遣いを求められるシーンは以下の5つです。
- 名刺交換するとき
- メールなどのテキストを使うとき
- 謝罪するとき
- 電話対応のとき
- 上司に対する言葉遣い
それぞれ気をつけるポイントが異なりますので、注意が必要です。
また、意外と使いこなせていない敬語は以下の3つです。
- 忘れたときは「失念しておりました」
- 誰かに伝言をするときは「申し伝えます」
- わからないときは「わかりかねます」
ぜひ、今回ご紹介した内容をおさえてビジネスマナーの基本を習得していってください。